2019年 7月 の投稿一覧

裁判官と関わる職業 調査官・事務官・書記官

家庭裁判所で裁判官の右腕となる調査官

裁判官は、たくさんの調査資料を読んだり証人の話を聞いたりして判決を下すのが主な仕事です。刑事事件では、弁護人と検察官の両方から資料が提出されるわけですが、少年事件などの場合は、検察官から出される証拠の他にも公平な資料が必要となります。そのため、裁判所では家庭裁判所調査官という職業の人が調査を行っています。事件が行った背景や、家庭環境、少年の心理的要因などを調査してまとめます。この調査官は、警察とは関係のない裁判所直属の職業で、裁判所職員採用試験に受かった人がなれます。公務員として働くわけですが、他の公務員よりも合格率、採用の割合が低く、難度の高い職業です。

大学卒もしくは院卒、特にロースクール卒の人が採用試験を受けることが多く、狭き門となっています。しかも、試験に合格して採用されてからすぐに調査官となれるわけではありません。最初は調査官補として働き、2年程度の養成課程、実地研修を経てから始めて正式な調査官となれるのです。裁判官の右腕とも言える存在で、少年裁判の行方を左右する重要な役割を果たします。

裁判所の様々な実務を担当する事務官

裁判所内のいろいろな事務仕事を担当するのが事務官です。いくつかの部門に分かれていて、司法行政部門というところでは、人事や総務などの裁判所全体に関わる事務仕事を行います。一方で裁判部門では、裁判そのものの運営に関わります。裁判スケジュールの調整など、裁判がスムーズに進んでいくように働いていきます。あくまで事務方での仕事ということになりますが、この仕事の経験は非常に貴重なもので、一定のキャリアを積むことで司法書士や書記官、副検事などになれる道が開かれます。

裁判の記録を管理する書記官

裁判官が下した判決などを記録にしっかりと残して、確実な証明としておく仕事は、裁判所書記官が行います。なされた裁判を有効なものとするため、裁判記録を後々判例として使えるように保管するため、非常に重要な働きをするのです。

裁判所職員採用試験に合格することがスタートですが、試験に合格したからといっていきなり書記官になれるわけではありません。まず、試験合格者は事務官として勤務することになります。その後、一定期間仕事を続け、書記官になるための試験に合格し、その後1年以上の養成研修を修了して初めて書記官になれるのです。キャリアが必要な職業で、それだけ責任の重い仕事だということが分かります。

裁判官の現状と将来 トップクラスの年収、裁判員制度など法曹界の改革

一人当たりの負担がかなり大きい裁判官の仕事

裁判官の数というのはある程度決められていて、なりたい人がなれるというわけではありません。また、司法の質を一定上に保つために、裁判官の数を簡単に増やすという変更はできません。一方で訴訟の数は年々増加する傾向にあって、毎日何件もの訴訟を扱わないといけない事態となっています。それだけ、裁判官一人当たりにかかる負担が大きくなっているのです。実際に、残業をせずに済む日というのはそう多くありませんし、家に持ち帰って仕事をするというのも普通です。裁判所で読み切れなかった資料を家で読んだり、判決を考えたりすることが多く、勤務時間にカウントされていなくても労働している時間が多いのです。

このように、裁判官はかなりのハードワークですが、やりがいがあり大きな責任をゆだねられているため、強い精神力を保ちながら仕事を続けている人が多いのです。社会的な責任が重い仕事ですので、それだけ自分の仕事に誇りを持てると感じているのです。また、仕事は大変ですが、待遇はかなり恵まれていて公務員の中ではトップクラスの年収が与えられます。転勤が多いという事情もありますが、住宅などの生活環境もしっかりと整備されていますので安定した生活を送ることができます。裁判官の権限は非常に強く、法律で保護されています。また、個々の裁判官が自由に裁量できる範囲も広く、自分のペースで仕事ができるというのも、一つの特徴でしょう。

法曹界の改革が進んでいく

裁判官の仕事は、国の秩序を守るために非常に重要な役割を果たすため、コロコロと裁判官の立場や業務の進め方を変えるというわけにはいきません。しかし、より国民の心情に見合った裁判ができるようにと、法曹界においては様々な改革が進行しています。その一つの大きな動きが、平成21年になされた裁判員制度です。一般市民が重大な刑事事件に参加して、裁判員として判決を出すという制度です。これにより、かなり裁判の進行が分かりやすくなり、一般市民でも理解やすくなっています。

こうした動きは裁判官の負担をある程度和らげると共に、より国民に開かれた存在となるという効果を生み出しています。これからも裁判官の重要性は変わることはありませんが、より時代の流れに沿った裁判の進め方がなされるという意味で変革を遂げていくことでしょう。市民との交流が増えてきていますので、一般市民の感覚を肌で感じられるというのも、これからさらに改善されていく点となります。

裁判官の1日、民事か刑事での違い

非常に忙しい毎日を過ごす裁判官

裁判官と一口に言っても、刑事事件を主に担当する人、民事を扱う裁判官、少年事件などの家裁にいる人と、担当するところによって扱う業務の内容が異なります。しかし、共通して言えるのは、どの裁判官も非常に忙しい毎日を送っているということです。世界的に見ても、日本の裁判官の数は事件数と比べて非常に少ないという統計があり、それだけ一人当たりの作業量が多くなります。一つの事件だけでも、相当な量の資料を読む必要があります。そして、常に複数の事件や案件を同時に抱えていて、しなければならないことが山のようにあるのです。

こうしたことから、公務員といえども定時で毎日帰れるということはほとんどなく、残業をすることも多くなります。しかも、調査資料などを家に持ち帰って読んで判決を考えることも多く、自宅で仕事を続けるというのも珍しくありません。

刑事事件を扱う裁判官の一日とは?

刑事事件の数は、地方によってだいぶ異なり、場合によっては民事よりもかなり少ない傾向にあります。それでも、捜査資料は一件だけでも山のようにありますし、審理時間が長くなるため判決を出すまでにはかなりの時間がかかります。

朝9時ころに出勤して、まずデスクに用意されている書類を読みつつ、一日の公判などの予定をチェックします。午前中に2件程度の事件の公判を行います。午後は、他の事件に関係する資料を読んだり、書記官と詳細について話し合ったりします。さらに、事件についての証人尋問が途中行われたり、判決を決めるための検討の時間を取ったりします。こうしているうちに夜になりますので、書類をまとめますが、終わらない仕事については書類を家に持ち帰り検討を続けることになります。

民事を担当する裁判官の場合

民事事件を担当する裁判官は、だいたい週に3日くらいの量で法廷で審理を行うことが多い傾向にあります。単独法廷もありますが、3人の裁判官で行う合議もあり、法廷を開く前に担当する裁判官同士で話し合いをする機会を設けることになります。単独法廷の場合は、1日あたり5件から8件程度の審理を行うことが多く、午前中に資料を読み、同時に時間に合わせて法廷に向かいます。午後にも同様に資料の確認と法廷という予定が進行し、夕方になって書類の整理や審理の検討を行うことになります。合議を行う日であれば、この合間に裁判官同士での話し合いが入ります。刑事と同じように、家に持ち帰っての仕事もありハードワークとなります。

裁判官になるには司法試験と採用面接の通過が必須

司法試験に合格するだけではなれない裁判官

裁判官として働くためには、まず基本的な条件として司法試験に受かることが求められます。司法試験は国家試験の中でも最難度のもので、法律に関するあらゆる角度からの深い知識が必要となります。そもそも、司法試験の受験資格を得るだけでも大変な道となります。原則としては、大学を卒業してからロースクールと呼ばれる法曹を養成するための大学院に入ることが必要です。そこでの専門的かつ高度な教育を受けて初めて司法試験を受けることができるのです。

この司法試験は合格率が非常に低い難しい試験ですが、裁判官になるためには、この試験にパスするだけでは不十分です。司法試験後は、一年間の司法修習という法曹三者、つまり弁護士、検察官、裁判官になるための実地養成が実施されます。この修習期間にどの道を歩むのかを決めることになりますが、期間が終了する前に二回にわたる試験がさらに実施されます。この試験に合格して初めて、裁判官としての選択肢を選ぶことができるようになります。

裁判官を希望する人は、採用面接試験が実施されることになります。ここでは、法曹としての知識の深さや法律への理解力などの能力面での判定がなされます。そして、さらに大事なこととして、裁判官にふさわしい人格や考え方の持ち主かということが見られます。裁判官は、単に優秀であれば良いということではなく、第三者の立場として冷静かつ公平に問題を見られること、思いやりがあること、迅速かつ的確に判断ができることなどが必要となるのです。

さらに、司法修習においては監督官が付いて、修習生の研修を見守るわけですが、その監督官の推薦が物を言うことも多いとされています。単に成績が良いというだけでなく、日ごろの仕事への取り組みや人柄などがチェックされて、裁判官にふさわしいかどうかが判断されるのです。総合的な人間力が求められる仕事だということが分かります。

弁護士や検察官から裁判官になるケースも

基本的には、上記のように司法試験をパスしてからストレートに裁判官の道を歩む人が多いのですが、途中で弁護士や検察官から裁判官になる人もいます。より視野の広い判断ができる裁判官が求められているということもあって、積極的にこうしたシフトを勧める動きもあります。さらに、弁護士や検察官との兼任で行う非常勤裁判官という特殊なケースもあって、裁判官になるためにはいくつかの道があることが分かります。

「法の番人」とも呼ばれる裁判官の仕事

「法の番人」とも呼ばれる司法の重要な役割を担う裁判官

裁判官は、「法の番人」とも呼ばれることがあり、司法を担い国内の治安と秩序を守るために非常に重要な働きをします。裁判官は、刑事裁判において検察官が提出する証拠と陳述、そして弁護士が提出する証拠を突き合わせます。また、被疑者本人そして証人の証言を聞いて、事件の真相がどのようなものだったのか、被疑者の動機や状況はどうだったのかを判断します。その上で、法律に基づいて刑罰を決めたり、場合によっては無罪と判断したりすることになります。

民事裁判においては、係争に関係する当事者の言い分を聞き、すべての状況資料を確認した上で公平かつ法律に照らして正しい判断を下すことになります。刑事、民事どちらの裁判であっても、裁判官が下す判決というのは非常に重みがあります。その事件や係争だけの問題ではなく、その後も判例として使われることになりますので、毎回の判決の重要性を意識しながら検討することになります。

捜査令状を発行するという役目もある裁判所

裁判官は、被疑者を捕まえた後に裁判になった時だけ必要とされる存在ではありません。事件の捜査そのものにも関わっているのです。というのも、警察が自宅や本人を強制捜査する場合、捜査令状がないと権限を利用することはできません。これは犯人と思われる人物であっても、基本的人権というものがあり、それは確実に守られなければならないからです。そこで、捜査令状を発行するのは裁判所と決まっており、明らかで妥当な理由があって強制捜査をするということを、警察は裁判所に通知した上で申請を行います。裁判官はその妥当性について検討した上で捜査令状を発行することになります。

家事事件や少年審判など裁判官が扱う範囲は広い

裁判官の働きというと、刑事事件で弁護士と検察官が出てくる裁判所での様子がクローズアップされがちですが、それ以外にもたくさんの仕事があります。たとえば家事事件というものがあります。離婚などの事案がその代表で、問題の当事者同士が集まって証拠を提出し陳述を行った上で、裁判官が審判を下します。これは何かしらの刑罰を与えるという類のものではなく、トラブル解決の手段としてなされるものです。他にも、未成年の少年が犯した行為についての審判を行う少年審判もあります。やはり罰を与えるという観点ではなく、あくまで少年の更生をメインにして考えるという点で、一般の刑事事件とは異なります。